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人的営業からデジタル・マーケティングに切り替えるべき理由【連載:人を増やさず利益を増やすデジタル・マーケティングの進め方(1)】

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デス・バイ・アマゾンは本当か?

昨年の10月に、かつて小売業世界No1だった百貨店のシアーズが倒産しました。このニュースをうけ、日本のメディアでは「米国の小売業はアマゾンに駆逐されている」と、“デス・バイ・アマゾン(=アマゾンによる死)”が盛んに報じられています。しかしこれは、本当でしょうか?

例えば同じ米国の百貨店であるノードストロームは、2016年は144億ドルの売上でしたが2017年は148億ドル、2018年は155億ドルと一貫して成長しています。この理由は、顧客の購買行動が変化している中、シアーズはそれに対応できなかったのに対し、ノードストロームはそれに対応できた、ということなのです。

顧客の購買行動の変化とは、一言で言えば「デジタルへの移行」です。すなわち、一昔前の顧客は店舗に来店して店舗で選び、店舗で購入していました。しかし今は違います。顧客は来店前にインターネットで商品を探し、何をどの店舗で買うか決めます。来店してから行う購買行動は「購入」のみです。

 

あらゆる業種・業態で生き残るためにはデジタル・シフトが必須に!

実際、米国でもEC化率(=ネットで商品を買う比率)は11%前後と言われており、実際には9割近い顧客が店舗で商品を買っているのです。

その点、ノードストロームはこうした顧客の購買行動にいちはやく対応しています。ノードストロームでは店頭販売だけでなく、自社通販サイトであるNordstrom.comを持っています。同社の各店舗は小売を行う売り場であると同時に、前述の通販サイトの在庫倉庫としての役割も担っています。顧客は店頭に無い商品をNordstrom.comから購入することができ、こうしたリアルとネットを相互に活用して購買できる仕組みのことをマルチチャネルといいます。そしてノードストロームでは、このマルチチャネルによる売上が全体の1/3を占めるといわれています。またマルチチャネルで買い物をする顧客は、1つのチャネルで買い物をする顧客と比較して4倍もの買い物をする、といわれています。

いまや「デジタル対応」が時流適応の必須要件であり、いかに自社や自社の業界に合致したデジタル・シフトを行うかが生き残りの為の最重要要件になっているのです。

 

成熟業界で売上4倍・営業利益率50%越えの理由

デジタル・シフトが求められているのは小売業だけではありません。いわゆるBtoBビジネス(法人営業)の業界でも全く同じことがいえます。

例えば工業用センサーのメーカーで、高収益企業として知られている会社にキーエンスがあります。

同社の売上は2010年3月期で1362億円 営業利益率は40.9%でした。

そして、驚くべきはその8年後の決算内容です。2018年3月期の同社の売上は何と5268億円(!)さらに営業利益率は55.6%と、大きく増加しています。

わずか8年で売上を4倍近くに伸ばし、かつ収益性も大きく向上しています。

成熟業界と言われる製造業の同社は、一体何に取組んだのでしょうか。

 

成熟業界こそデジタル・マーケティングが有効

同社の躍進には色々な理由がありますが、その中の1つがデジタル・マーケティングへの取組みです。もともとキーエンスは、販売店や商社を介さない、自社営業マンによる直接販売が強みの1つでした。いわば典型的な人的営業です。しかし近年、同社はデジタル・マーケティングに製造業の中でもトップクラスに取組んでいます。

例えば集客を目的とした“ソリューションサイト”ですが、多くの製造業が“会社案内サイト”しかもっていない中、同社はソリューションサイトを37サイトも運営しています。

また、一度でも同社のサイトを訪れると、その後“リターゲティング広告”と呼ばれる同社の広告がずっと表示されます。ダウンロード冊子の数に至っては、数えられないほどの充実ぶりです。

人的営業を主体に行っている会社は、すぐにデジタル・マーケティングの導入を検討するべきでしょう。そして、BtoCであれ、BtoBであれ、デジタル・シフトは必須ともいえる緊急の経営課題なのです。

 

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