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世界に誇りたい日本の製造業【第4回:10人の町工場が100人の工場に勝つ方法】

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「小が大に勝つ」ためのセオリーは「人財教育」!

ビジネスの世界は、一般に規模が大きくなるほど有利に見えます。しかし戦い方次第では「小が大に勝つ」ことは十分に可能です。例えば船井総合研究所 ファクトリービジネス研究会 会員企業でもある従業員10名の町工場、有限会社シオン様はそうした存在です。

同社は全国製造業コマ大戦で優勝するなど高い技術を持つ町工場ですが、業界でもユニークな方法で人材育成に取り組んでいます。それは、取引先から支給された図面について、1人の作業者が完成品まで仕上げる、ということです。

通常は旋盤工程はAさん、フライス工程はBさん、という様に工程ごとに担当者を分けるのが普通です。なぜなら各工程において、一人前になるには最低でも3~4年間の習熟が必要だからです。例えば旋盤とは金属材料を回転させ、刃物を押しあてて“ロクロ”の要領で金属を加工する機械のことです。フライスとは逆に刃物を回転させ、固定された金属材料を削りだす機械です。旋盤とフライスでは全く使用方法が異なることがわかります。

 

中小企業は「多能工」で勝負しよう!

しかし、あえてシオンでは時間がかかっても1人の作業者が複数の工程をこなせる「多能工」にこだわっているのです。その結果、多品種少量の金属加工において、シオンでは圧倒的なスピードで加工を行うことができます。図面ごとに作業者が割り当てられるので、納期管理や品質管理も楽にできるのです。

同社の山田社長は、こうした能率面を追及するために「多能工」を推進したのでは無い、といいます。万が一同社が潰れても作業者が独り立ちして食べていける様に、そのためには時間がかかっても、最初は効率が悪くても教育に力を入れて「多能工」化を進めているのです。また1人で全ての工程をこなして完成品まで仕上げるわけですから、分業の場合よりも仕事へのやりがいもあります。事実、同社ではお昼休みの12時過ぎても作業者が作業を止めず、20分から30分もお昼休みを削るのもザラだそうです。

こうした「多能工」化やその為の教育は、100人規模以上の工場ではまず無理なことです。大量生産であれば分業体制の大規模工場が有利ですが、昨今国内に残っている様な多品種少量生産だと、シオンの様な会社が圧倒的に有利なのです。

どの様な業種であっても、会社は規模でなく質だということがよくわかる事例だと思います。

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