今年も9月17日(月)~23日(月)の1週間、アメリカ西海岸グレートカンパニー視察セミナーを実施しました。
毎回100名以上の経営者の皆様と10社以上のグレートカンパニーを回り、今回の開催で10回目となります。
本視察セミナーは回を増すごとに内容が充実しています。
もっというと、デジタルに代表される破壊的技術により、既存の持続的技術が破壊(ディスラプション)されるという構造が進み、時流的により二極化が際立っていることが、その要因かもしれません。
今回のアメリカ西海岸グレートカンパニー視察セミナーの様子は、下記URLよりご覧いただくことができます。
↓↓↓こちらからご覧ください
https://seizougyou-koujoukeiei.funaisoken.co.jp/tag/inspection_report/page/3/
まず初日はシアトルに訪問しました。
シアトルにはアマゾンとマイクロソフトの本社がありますが、シアトル市内もいまや中心部はアマゾン関連のビルだらけです。
上記レポートにもありますが、アマゾンがシアトル市内につくりだしたアマゾン・スフィアという建造物は、外観は巨大なガラス張りの温室であり、文字通り都会のど真ん中にアマゾンをつくりだすというコンセプトで建築された、壮大な建造物です。
建物の中は熱帯雨林と同じ環境が再現され、実際の熱帯雨林の植物750種類が、専門の植物学者の手によって栽培されています。
そして、この建物の目的はアマゾン従業員のリラックス・スペースです。
本建造物はアマゾンの社員であれば誰でも使用可能で、植物に囲まれたリラックスできる環境下で、新たなビジネスにつながるアイデアを生み出してもらう、ということが目的です。
しかし、アマゾンといえば本業の通信販売はずっと赤字で、でた利益は全て投資に充てていることで知られている会社です。
では、アマゾンはなぜ、こうした建造物を建てることができるほどの余裕が生まれたのでしょうか?
それは、同社の「クラウド事業」にあります。アマゾンは売上高25兆円ですが、同社の「クラウド事業」は売上全体の2割程度を占めるにすぎません。
ところが何と、利益で見ると同社のクラウド事業は利益全体の6割をも占めているのです。
また、アマゾンの中核事業は今や通信販売ではありません。
毎月二桁以上の勢いで急速に伸びる「広告事業」、さらに中古マーケットプレイス事業、物流代行事業など、本業の「通信販売」事業の周辺事業で儲ける体制が確立されています。
つまりアマゾンは「通信販売」の分野でディスラプション(破壊)を行いながら、他の事業で確実に稼ぐという、気が付けば独特のビジネス複合体企業となっていたわけです。
また同じく、シアトルに本社をおくマイクロソフト。
同社は世の中のネット化の流れとともに一時期は凋落し、アメリカのプラットフォーマーを示すGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)にも入っていません。
ところが昨今、マイクロソフトはアップルを抜き去り、今や時価総額世界一の会社です。
ではなぜ、凋落していたマイクロソフトが時価総額世界一の会社になれたのか?そこには2つの理由があります。
1つ目は経営者が変わったことです。
マイクロソフトは3代目の社長であるサティア・ナデラ氏が社長になってから勢いを取り戻しました。
例えば、前社長の時にはウィンドウズに対抗するリナックスに対して、マイクロソフトは徹底的に対抗する措置をとりました。
ところがナデラ氏は方針を大転換し、リナックスとも友好的な関係を結ぶ戦略に転換します。なぜなら、その方針が顧客価値を実現する、と彼は判断したからです。
2つ目は「クラウド」を自社事業の中心に据えたことです。
今やマイクロソフトの稼ぎの中心は、同社のクラウドサービス“アジュール”です。
現在の時流は完全にクラウドです。アマゾンも自社の通信販売ビジネス用に保有していたクラウドを、外部に貸し出すことで収益をあげ、マイクロソフトが時価総額世界一に返り咲けた理由もクラウドです。
また今回訪問したZoom社も、クラウドを活用したWeb会議システムをつくっており、サンフランシスコで一番高い本社ビルを建てたセールスフォースもクラウドによるCRMで世界一になった会社です。
旧来のITビジネスに関して言えば、クラウドの波に乗れたかどうかがその会社の命運を決している、といっても過言ではないでしょう。
また、今回のアメリカ視察で感じたことは、いわゆる「プロ経営者」が、現在の時代では役に立たなくなってきている、ということです。
例えば前述のマイクロソフト社の場合。現社長のナデラ氏の前任はスティーブ・バルマー氏でしたが、バルマー氏はハーバード大学卒でMBAコースに在籍していたこともある、いわゆるプロのマネージャー人材です。
それに対してナデラ氏はインド出身のソフトウェア技術者です。
また、アマゾン創業者で現CEOのジェフ・ベソス氏は、プリンストン大学で電気工学とコンピューター工学を修めた人物です。
5年ほど前から、「シリコンバレーではMBA人材を採用しなくなった」と言われていましたが、今回、私が感じたのは、今や「デジタル化」が業績を上げるキーポイントとなった以上、従来のMBA的プロ経営者よりも、テクノロジーをきちんと理解できる経営者でないと業績が上げられなくなっているのではないか、ということです。
実際、上記の2社以外も、今回視察した全ての企業において、テクノロジーに通じた技術を理解できる経営者が社長をやっていました。
また、プロ経営者を生み出すことで有名なGE(ゼネラル・エレクトリック)社そのものが大苦戦しています。
同社は今期も2000億円を超える赤字になる見通しです。実際、同社が唱えていた「選択と集中」を実践した大企業の多くが、その後経営的にも行き詰っています。
これは、同社云々の問題ではなく、現在のデジタル・ディスラプションに代表される、時流の変化によるやむを得ない環境の変化であると、捉えるべきではないでしょうか。
つまり、これからの時代は「プロ経営者」というよりも、いかにテクノロジーに精通した社長であるかどうか、といったことが組織の浮沈に関わるのではないかと思います。
実際、小売業では明らかに勝ち組のはずのセブンイレブンが、キャッシュレス通貨のセブンペイで大失敗しています。これも同社の経営陣がテクノロジーに弱かったことが明らかに主因です。
ではどうすれば良いのか、というと、それは やはり勉強をするしかないと思います。
例えば前述のグレートカンパニー視察セミナー。費用もそれなりにかかりますし(スタンダードコース会員価格90万円)、1週間も会社を休むことになります。
しかし、経営者として、何か1つでも良いので、この視察から自社の方向性や将来ビジョンに関する「示唆」を得ることができれば、こうした費用は瞬時に元が取れると思います。
船井総合研究所が提供しているこうした企画は、単なる「ツアー」ではなく「視察セミナー」です。
ツアーと視察セミナーの違いは、前者が単なる旅行であるのに対し、後者はプロの経営コンサルタント多数が随伴しての “気づきの場” “発見の場” である、ということです。
また、年に1回の視察セミナーだけでなく、船井総合研究所 ものづくりグループでは随時セミナーを開催しています。
例えば来る11月12日は東京会場、12月5日は大阪会場にて、9年間で業績を3倍以上(年商7億→年商22億)に伸ばされた機械工具商社 ㈱エス・エヌ・ジー 代表取締役 有賀 淳一郎 様を特別ゲスト講師としてお招きしたセミナーを企画いたしました。
ちなみに昨年の今頃は、やはり10年間で業績を2倍(年商14.7億→年商29億)に伸ばされた、K・マシン㈱ 代表取締役 菊井 健作様 を特別ゲスト講師として、セミナーを実施いたしました。
いずれも、極めて競争環境が厳しい機械工具商社業界の事例であり、両社の共通点は人的営業をビジネスモデルの中心としつつも、同時に「デジタル」にも力を注いでいる、という点です。
ぜひご関心のある方は、下記ご案内から本セミナーの詳細をご覧いただければと思います。
もちろん、本セミナーには私も講師として登壇いたします。
ぜひ皆様とセミナー会場でお会いできますことを、心から楽しみにしております。
船井総合研究所 ものづくり・エネルギー支援部
上席コンサルタント 片山 和也
=============================
<経営者の皆様へ セミナーのお知らせ>
2020年 機械工具商社時流対策!
<日時・場所>
東京会場:2019年11月12日 火曜日 船井総合研究所
五反田オフィス
大阪会場:2019年12月 5日 木曜日 船井総合研究所
淀屋橋本社
※大変恐れ入りますが大阪会場では特別ゲスト講師様は動画でのご講演となります。
※時間はいずれも 13時~16時30分 となります。
↓↓↓2020年 機械工具商社時流対策セミナーの詳細・お申込み
本セミナーの主な内容は下記の通りです。
第1講座 はじめに:今、業績を大きく伸ばす機械工具商社の共通点
・今、業績をガンガン伸ばす会社、伸び悩む会社、その違いとは?
・小が大に勝つ時代に突入!小さい販売店こそデジタルを強化せよ!
株式会社 船井総合研究所 ものづくりグループ 上席コンサルタント 片山 和也
第2講座 新規開拓のできなかった我が社が、9年で業績が3倍(7億⇒22億)になった理由
・売上の3割以上を依存していたメイン顧客が消滅!からの大逆転。
・新卒0から新卒中心の組織づくりに!前向きな組織風土に生まれ変わる。
・社員のために「武器」「階級」「戦場」「砦」をつくれ!ミニM&Aの推進。
㈱エス・エヌ・ジー 代表取締役 有賀 淳一郎 様
第3講座 「小」が「大」に勝つ、地域密着販売店の為のビジネスモデルのつくり方
・人を増やさず利益を増やす地域密着販売店のデジタル活用のポイント
・社員そのままで、3年間で売上を1.5倍に上げた近畿A社の工事・加工戦略
・ロボットエンジニアリングに取組み、成果を上げる中国エリアB社の事例
株式会社 船井総合研究所 橋本 吉弘、澤田 知輝
第4講座 本日のまとめ
・明日から機械工具商社社長に取組んでほしいこと
株式会社 船井総合研究所 ものづくりグループ 上席コンサルタント 片山 和也
↓↓↓2020年 機械工具商社時流対策セミナーの詳細・お申込み
セミナー会場で皆様とお会いできますことを、心より楽しみにしております。
製造業・工場経営の最新ノウハウ資料を見る