デービッド・アトキンソン氏による、「見限るべき社長」3つの特徴とは?
元、ゴールドマン・サックスのアナリストで、日本の政策運営にも影響を及ぼしている人物として著名なデービッド・アトキンソン氏が、東洋経済新報社から「給料の上げ方」という新著をこの3月に出版しました。
同書の内容は中々興味深い内容です。
ちなみに、このデービッド・アトキンソン氏は、ゴールドマン・サックスのアナリスト時代に、
「日本は都市銀行の数が多すぎる」と、問題提起を行い、
「日本の都市銀行は2~3つあれば十分」と主張しました。
実際、当時は“富士銀行”“三菱銀行”“東京銀行”“東海銀行”“三和銀行”“第一勧業銀行”“太陽神戸三井銀行”“住友銀行”“日本興業銀行”と、実に9つもの都市銀行がありましたが、アトキンソン氏の提言通り、その後日本の都市銀行は、
・三井住友銀行
・三菱UFJ銀行
・みずほ銀行
と、本当に3つに集約されてしまいました。
政府の「成長戦略会議」にも有識者として起用された同氏の現在の提言は、
「日本は中小企業の数が多すぎる」
「その結果、日本の労働生産性は低く、給料も上がらない」
「なので、日本は中小企業の数を減らすべき」
という主張を展開しています。
そんなデービッド・アトキンソン氏の新著、「給料の上げ方(東洋経済新報社)」の内容はどんな内容なのかというと、まず、現在の日本は給料が安すぎ、今や日本の給与水準は先進国でも最低の世界24位。
何と給料の高さでいうと、韓国にも抜き去られている、といいます。
では、なぜ、日本の給料が安いのか?
その理由は、この30年間、日本の「労働生産性」がほとんど上がっていないからです。
例えば米国の場合、1990年の労働生産性の水準を100とすると、2021年には160まで上がっています。ところが日本の場合、2021年の段階でわずか117にしかなっていない、といいます。
さらに、これから日本は本格的な人口減少期を迎えることとなり、従来は1名の高齢者を12名の生産者人口で支えていたのに対し、今後は1名の高齢者を2名ほどの生産者人口で支えざるを得なくなる。
そうすると最低でも、毎年4.2%ずつの賃上げを行っていかなければ、日本の社会そのものが持続不可能である、というのが著者の主張です。
では、どうすれば日本の中小企業は「労働生産性」を高め、給料を上げることができる様になるのか?
その為には「会社が社員を選ぶ」のではなく、「社員が会社を選ぶ」もっといえば「社員が社長を選ぶ」という視点が不可欠だとアトキンソン氏は本書の中で述べています。
具体的に、次の様な特徴を持つ「社長」のもとで働いている社員は、「早々に見限って、すぐに転職をするべき」と述べています。
その、社員が見限るべき社長の特徴とは・・・
見限るべき特徴1)売上を増やそうとしていない
見限るべき特徴2)生産性の意味を理解できていない
→コストを下げても、利益は増えるが生産性は上がらない。
生産性を上げるには、1人あたり付加価値を高めなければならない。
従って、コスト削減と生産性の向上は似て非なるもの。
見限るべき特徴3)単価を下げようとする
いかがでしょうか。
当然のことながら、見限られる社長にならない様にしなければなりません。
社員が「ついていくべき社長」5つの特徴
そして逆に、ついていくべき社長は、次の5つの特徴を持つ社長だといいます。
ついていくべき社長の特徴1:イノベーションと需要発掘を重視する
ついていくべき社長の特徴2:10年先から今の戦略を立案する
ついていくべき社長の特徴3:輸出を重視する
ついていくべき社長の特徴4:正しい調査をする
ついていくべき社長の特徴5:成長マーケットを攻める
例えば特徴3でいえば、自ら輸出をしなかったとしても、輸出できる様なグローバルな競争力を持つ会社との取引を志向する、ということでも良いでしょう。
例えば研削盤の優良メーカーとして有名なナガセインテグレックスという会社があります。同社は「火花レス研削」など、研削加工に新たなコンセプトを生み出す優良企業ですが、同社の戦略は自らグローバルに打って出るのではなく、既にグローバルに打って出ている優良企業と付き合う、という戦略です。
そして上記5つの特徴の中で最も重要なポイントが、特徴1の「イノベーション」を生み出すことだそうです。
なぜなら、前述の「労働生産性」を高めようとすると、この「イノベーション」が必要不可欠だからです。
労働生産性を高める絶対条件、「イノベーション」を生み出すために必要なこと!
では、どうすればこの「イノベーション」が生まれるのか?
イギリス政府の依頼によってまとめられた論文、「ザ・ファイブ・ドライバーズ・オブ・プロダクティビティ:生産性向上につながる5つの要素」によると、生産性は次の5つの要因によって上がるといいます。
(1)アントレプレナーシップ:相関関係0.91
(2)設備投資:相関関係0.77
(3)人材投資:相関関係0.66
(4)技術革新:相関関係0.56
(5)競争:相関関係0.05
相関関係からみても、生産性を上げる上で最も重要な要素が「アントレプレナーシップ」です。
この「アントレプレナーシップ」は、日本では“起業家精神”と訳されることが多いのですが、著者によると英語での本来的な意味は『新しいことに挑戦すること全般』を指すのだそうです。
では、「新しいこと」とは、例えばどんなことを指すのでしょうか?
今、生産性向上に直結する経営施策は「営業DX」の導入!
例えば「新しいこと」の代表的な例として、「営業DX」を挙げることができます。
「営業DX」とは、文字通り従来の営業活動に「DX」を導入することを指します。
具体的には“ソリューションサイト”を立ち上げることによって新規顧客あるいは既存顧客との「デジタル顧客接点」を増やし、「チャットボット」に代表される「Web接客システム」で、Webアクセス客を見込み客化し、それを「マーケティング・オートメーション:自動追客システム」で商談化し、商談そのもののプロセスも「SFA:商談管理システム」で見える化することによって受注率を向上させ、業績を上げていく取組みです。
多くの会社が“販売管理システム”“生産管理システム”“労務会計システム”といった「管理DX」あるいは「現場DX」は行えていますが、この「営業DX」は行えていない会社が世の中大半なのです。
実際、次の動画をご覧いただくと、和歌山県紀の川市に本社を置くセットメーカー(装置メーカー)の場合、「営業DX」を導入して1.5年で、何と新規商談5億円、新規受注1億円という成果を出しています。
↓↓↓【動画:約10分】「営業DX導入1.5年で新規商談5億円!受注1億円を実現!」
さらに、下記、地域密着型販売店(生産財商社)の場合、「営業DX」を導入して、ここ3年間毎年1億円前後の新規顧客からの受注を獲得しています。
↓↓↓【動画:約7分】「営業DX導入で毎年1億円を作り出す我が社の取組み!」
他にも「営業DX」の導入成功企業は、“機械加工業”“板金加工業”“製缶加工業”“鋼材商社”“生産財メーカー””建材メーカー”“金型製造業”“その他”など、多岐にわたる再現性の高い取組みです。
ぜひ、まずは上記動画をご覧いただき、「自社が「営業DX」を取り入れるとしたら何をするべきなのか」といったことを、お考えいただければと思います。
また、この「営業DX」については、日々新たなノウハウが生み出されていますので、私ども船井総合研究所でも、継続的に経営セミナーを開催することで、こうした新たなノウハウや具体的な成功事例を経営者の皆様にお届けしています。
例えば現在、下記の様な経営セミナーを企画しております。
ぜひ自社に関連しそうなテーマを選んでいただき、ご参加を検討いただければと思います。
大型・長尺機械加工業向け 経営セミナー
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