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変化を見逃さない経営者になるためには?|製造業デジタルマーケティングの導入成功事例

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フォックスコンが自動車をつくる日

 

米国にフィスカーというEV(電気自動車)のベンチャー企業があります。同社はテスラに次ぐ米国では二番目のEV専業メーカーですが、同社のEVの生産は台湾のフォックスコンで行い、フォックスコンでは2023年には年間25万台の自動車生産を行うとの発表が先日ありました。

 

年間25万台というのは、テスラの現在の生産台数の約1/2となります。

 

「フォックスコンが、いつか自動車を生産する日が来る」と一昔前からいわれてきましたが、いよいよそれが現実のものになってきています。フォックスコンは中国の自動車メーカー、浙江吉利控股集団と今年に入って合弁会社を設立しています。

 

かつて国内で生産されていた携帯電話は、ほとんど全てがフォックスコンに代表される海外メガEMSに仕事が流れていきました。当時、試作から金型製作、部品製造から組立に至るまで、多くの企業が連鎖するサプライチェーンが形成されていましたが、そうした携帯電話のサプライチェーンはこの10年間でほとんど消滅しました。

 

普通に考えれば現在の自動車産業も同様の変化に見舞われることは間違いがなく、当然のことですが産業構造の変化に身構えておく必要があります。

 

 

なぜコダックは倒産したのか

 

今、私が読んでいるのは「DX経営戦略 成熟したデジタル組織を目指して(NTT出版)」という本です。最近のマネジメントの書籍は、以前の様なマズローなどの産業心理学的なアプローチの論調ではなく、いかにDXを実現することができる組織をつくるか、いかにデジタル・ディスラプションに耐えうる組織をつくるか、という「対デジタル」あるいは「対新たなイノベーション」という論調に帰結しています。

 

例えば米国のコダック。かつて同社は写真フィルムで世界シェアNo1のエクセレントカンパニーでしたが、写真のデジタル化の波に押されて2012年に倒産しました。

ただし、世界で初めてデジタルカメラを実用化したのもコダックです。写真フィルムに代る技術を持ち合わせていながらそれを活かすことができず、最後は倒産に追い込まれてしまった。要はテクノロジー云々ではなくマネジメントの問題なのです。

 

それに対して富士フイルムは、当時同社の社長であった古森重隆氏の強力なリーダーシップにより新たな新規事業の柱を増やし、現在でも優良企業としてその地位を維持しています。

富士フイルムにあって、コダックに無かったものは、一言でいってトップのリーダーシップです。

 

 

なぜインテルは苦境に陥っているのか?:イノベーションのジレンマ

 

現在の様に産業構造が大きく変わる時に注目されるのが、「イノベーションのジレンマ」と呼ばれる現象です。

 

例えばインテル。絶好調のはずの半導体業界の中で、インテルの業績はさえません。

その理由は、インテルはスマートフォン向けのCPUに対して出遅れており、スマートフォン向けのCPUでは米国クアルコム社が圧倒的なシェアを握っています。

 

ではなぜ、インテルはスマートフォンの市場に出遅れたのか?

インテルが得意とするパソコンあるいはデータサーバー向けCPUの場合、パソコンやデータサーバーの平均単価というのは10万円から30万円といったところでしょう。

 

ところがスマートフォンの平均単価というのは3万円から高くても10万円。と、いうことはCPUもそれに合わせてローコストなものをつくる必要があります。ところがスマートフォンはパソコンよりも小型ですから、ローコストかつ小型のCPUをつくらなければいけない。

つまり、従来よりも「儲からないビジネス」に手を付けざるを得ない。

そこでスマートフォン向けCPUへの参入に二の足をふむインテルを尻目に、当時新興企業であったクアルコム社が一気にシェアを伸ばしたのです。

 

インテルは自社で開発から製造まで全てを手掛ける垂直統合型の企業。

それに対してクアルコムは開発と販売に特化し、製造は台湾TSMC社に全てを委託しています。

 

新聞報道を読むと「インテルは垂直統合型で、クアルコムは水平分業型だから、クアルコムがうまくいった」と書いていますが、正確にはそうではありません。要は「製品の平均単価」という、最もありがちな「イノベーションのジレンマ」に陥った、というのが本質的理由です。

 

今から20年前、米国の自動車産業が日本車に駆逐されたのも同じ理由です。

 

米国は国土が広いから大きな自動車が売れる。排気量5000ccとかの大型車が平均単価500万円とかで売れるわけです。ところが国土が狭く、エネルギーの自給もできない日本ではそんな車は売れません。ですから日本の自動車メーカーは1000ccくらいの小型車を100万円くらいの単価で開発したわけです。

 

ではこの時、1台500万円の大型車をつくるのと、1台100万円の小型車をつくるのと、どちらが工数や手間がかかるか。どちらも工数や手間はそれほど変わりません。

ところが1台つくって500万円の売上を手にしていた米国車メーカーがー、同じくらい手間がかかるのに100万円くらいの売上しか手にできない製品を今さら手掛けることができるか?

技術的な面ではなく、組織風土面、マネジメントの問題として既に手掛けることができなくなっているのです。

 

これが「イノベーションのジレンマ」といわれる現象です。

 

「イノベーションのジレンマ」から逃れるためには強力なリーダーシップが必要です。

 

例えばユニクロは、ユニクロよりもさらに低価格帯のブランド「GU」を立ち上げて成功させました。なぜユニクロはGUを立ち上げたのかというと、同業他社がユニクロよりもさらに低価格帯の新業態をつくって参入してくる前に先手を打ったわけです。こうした経営のことを「両利きの経営」といいますが、同グループを率いる柳井正氏の強力なリーダーシップあっての「両利きの経営」の経営だといえます。

 

話をインテルに戻すと、インテルはパソコン向けからスマートフォン向けに出遅れた結果、業績を落としました。

ニコンも業績不振が伝えられていますが、ニコンの半導体装置部門の主要顧客はインテルです。

大手企業ですら取引先で業績が決まります。ましてや中小企業の業績は取引先で決まりますから、現在の様な変化が激しい時代は、変化を見逃さないトップの強力なリーダーシップが必要だと思います。

 

 

これから伸びる5つのマーケット

 

この様に、これから厳しくなるマーケットが存在する一方で、明らかにこれから伸びるマーケットもあります。

これから伸びるマーケットは次の5つです。

 

  • 半導体・5G関連マーケット

2.CASE(次世代自動車)関連マーケット

3.自動化・省人化関連マーケット

4.中食関連マーケット

5.脱炭素関連(=GX:グリーン・トランスフォーメーション)マーケット

 

例えば上記5.についていうと、伊藤忠商事がフランスのエア・リキード社と組んで、国内最大級の液化水素製造プラントを中部地方に設置するといいます。日あたり生産高は約30トンを想定しているそうで、これは現在、岩谷産業を中心に国内で生産されている総量に匹敵するそうです。

また東芝がGEと組んで風力発電プラントに参入するそうですが、こうした動きも全てGXです。

 

水素が現在のガソリンに代るインフラになるかどうかは甚だ疑問ですが、欧州でも風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギーの一次貯蔵エネルギーとして水素が活用されています。また商用車や航空機など、高出力が求められる分野は水素が本命だとされており、欧州エアバス社も水素を燃料として飛行する旅客機を開発しています。こうした「これから」の情報をいかに獲得できるかが死活問題になるでしょう。

 

 

正しい情報が取れるかどうかが死活問題になる時代に

 

逆に、間違った情報に振り回されると中小企業にとっては死活問題になります。

 

先日、ある工作機械メーカーの社長さんから話を聞きましたが、ある地方の30人くらいの部品加工業の会社が、数億円もの設備投資をすることになったそうです。

なんでも、トヨタのレクサスで使う部品の仕事が大量に取れた、とのことで取引先の部品メーカーから求められるまま設備投資を行うそうですが、その部品はガソリンエンジンで使用される部品だそうです。

どうやら、その部品をもともと手掛けていた会社が「もう、うちは受けたくない」と断った仕事が、まわりまわってその地方の会社に流れてきた様ですが、その加工業の会社の社長は「レクサスの仕事が取れた」と大喜びされていたそうですが、本当に時流を見据えて様々な判断を行わないと大変なことになると思います。

 

 

そうした意味で、現在の様な時代は従来の取引先だけや、今までの人脈だけの情報だけでは意思決定を誤ってしまう可能性があります。

今こそ、トップの判断で従来とは異なる情報収集源を構築していく必要があります。

 

 

例えば群馬県伊勢崎市に本社・工場を置く精密板金加工業、岡部工業株式会社(従業員数142人)の場合、従来はATM向けの精密板金加工品を手掛けていました。

しかし、今後のキャッシュレスの時代を見据え、ATMに依存していては会社の存続に関わる大きなリスクになる可能性が高いと判断した同社の代表取締役社長 岡部 浩章 氏は、デジタルマーケティングの導入を決断しました。そして今後成長が見込まれる「通信(5G)」「医療・理化学」分野への参入を進めました。

 

デジタルマーケティングを本格的に導入した同社では、毎週の様に新規顧客からの問合せを獲得できる様になり、ここ3年間で新規引合数は4倍に増加。年間5000万円を超える様な新規リピート顧客を獲得すると同時に、東証一部上場クラスの会社からも多数の新規引合いを獲得することに成功しました。

 

さらに同社はマーケティング・オートメーションを導入するなど営業面のデジタル化にも着手。従来のデジタルマーケティングを「営業DX」と呼べる段階まで磨き上げ、成果につなげておられます。

 

そうした同社の取組みを、下記URLから8分間の動画でご覧いただくことができます。

 

↓↓↓ 8分間の動画でわかる岡部工業様の営業DXへの取組み

 

 

まさに、同社は板金加工業界のモデル企業であるといえます。

 

こうしたDXに関わる取組みというのは、過去に前例が無いことですから、多くの社員や幹部も具体的なイメージを持つことができません。

そういった中で、船井総合研究所 ものづくり支援室では、中堅・中小製造業の経営者様向けにオンラインセミナーを開催しております。

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