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【製造業】デジタルマーケティングで成長市場の大手企業を新規開拓するためには?

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コロナ禍で業績を伸ばす会社

 

先日発行された週刊エコノミストの特集は「コロナ時代のものづくり成長企業」というテーマでしたが、次の様な企業が取り上げられていました。

 

<コロナ禍中の4~6月期で売上が前年対比で増加した会社>

・レーザーテック

・東京エレクトロン

・東京応化工業

・SCREENホールディングス

・ディスコ

・FUJI

・ダイフク

・アンリツ

・東洋合成工業

 

これらは全て5G・半導体・省力化関連の銘柄です。ちなみに東京応化工業は半導体製造工程で使用するフォトレジストのメーカー、東洋合成工業は液晶や有機ELの材料メーカーです。

 

また同じく、同じ四半期の営業利益率のランキングは次の通りです。

 

<コロナ禍中の4~6月期の営業利益率ランキング>

1位 キーエンス 47%(制御機器)

2位 レーザーテック 36.5%(半導体製造装置)

3位 ホロン 36.2%(半導体検査装置)

4位 トリケミカル研究所 31.2%(半導体材料)

5位 HOYA 30.9%(レンズ・半導体装置)

6位 インターアクション 28.1%(半導体製造装置)

7位 JCU 28%(メッキ薬品・装置)

8位 SMC 27.4%(FA向け制御機器)

9位 ディスコ 26%(半導体製造装置)

10位 santec 25.7%(光通信用部品)

11位 信越化学工業 25.3%(半導体材料)

12位 MARUWA 24%(半導体材料)

13位 SECカーボン 23.6%(炭素製品)

14位 東京エレクトロン 23.5%(半導体製造装置)

15位 本州化学工業 22.6%(フェノール製品)

16位 トーカロ 22.5%(半導体関連製品)

17位 メック 22%(電子基盤向け薬品)

18位 保土谷化学工業 21.8%(精密化学品)

19位 フジミインコーポレッド 21.8%(半導体研磨材料)

20位 ヒロセ電機 21.5%(コネクター)

 

このランキングに入っている会社のほぼ全てが、やはり5G・半導体・省力化関連の会社です。

各企業が取組むDX(デジタル・トランスフォーメーション)に加え、来年はデジタル庁の設置も決まった様です。ますますこうした銘柄の会社は業績を伸ばすことでしょう。

 

 

足元の業績が厳しい理由

 

しかし足元の9月をみると、こうした成長銘柄の会社と取引しているのに業績が厳しい会社が多々見られます。

 

その要因は米国と中国のハイテク摩擦問題です。

私のある関係先は、上記に挙がっている某装置メーカーと取引をしています。その某装置メーカーからは「9月からは爆発的に仕事が増えるから」と言われていましたが、全く仕事がでてきません。

どうやらその某装置メーカーの先には中国の「ファーウェイ」や「ZTE」があり、この両社向けの出荷ができない模様です。また先日、台湾TSMCに次ぐ半導体ファウンドリーである中国SMIC社が米国のエンティティ―リスト(米国製品輸出制限先リスト)に加わるという報道があった結果、東京エレクトロンやディスコの株価が下がりました。当面、こうした米国と中国のハイテク摩擦問題は長引くものと思われます。

 

ただし、米国と中国のハイテク摩擦問題が長引いたとしても、5GやDXを推進していなければならない、という事実は何ら変わりません。時間の問題で「ファーウェイが無理なら富士通かNECにしよう」あるいは「ZTEがだめならアップルかサムスンにしよう」とプレーヤーが入れ替わるだけであって、そのタイムラグの間は厳しいかもしれませんが、逆にいえば日本企業にとってはビジネスチャンスという見方をすることもできると思います。

 

 

「CASE」の活況と、進む「脱炭素」

 

また世界レベルでCASE(次世代自動車)の動きが活況です。

米国テスラ社が時価総額でトヨタを抜いたこともそうですが、GMもハマーのEV版をはじめ新型セダンのEVを市場に投入しています。またピックアップEVトラックのベンチャー企業ローズタウン社やニコラ社をはじめとして、米国ではEV関連のベンチャー企業が次々に生まれています。

またドイツのフォルクスワーゲン社も、2025年までに販売台数の2割をEVにするという計画を発表しました。同社傘下のポルシェやアウディもEVに力を入れています。

 

話が一瞬飛びますが、今、昔と違ってレジ袋が有料になり、また樹脂製のストローが使用されなくなりつつあります。理由は海の汚染につながるから、ということですが、それ以上にこうした化学品の材料である原油を使用することによるCO2の発生に歯止めをかけたい、という狙いもあります。

国連の進めるSDGs(持続可能な開発目標)もそうですが、明らかに世界の趨勢は「脱炭素」であり「脱石油」です。「ガソリン車は無くならない」と言っている人も多いですが本当にそうでしょうか?

今の世の中の流れをみていると明らかに今後の主流はEVであり、ガソリン車やディーゼル車も無くなりはしないでしょうけども少数派に転落する可能性は大きいと思います。

そうなるかどうかはわかりませんが、経営的にはそうしたシナリオも想定しておく必要があると思います。

 

実際、日本国内でもEV・ハイブリッド車のモーター関連の仕事、あるいは電池関係の仕事は活況です。

またスバルの新型車レヴォーグも好調が伝えられ、実際、私の関係先の某部品加工業でもスバル向けの仕事が増えて残業を再開しているほどですが、同車には自動運転機能に近いレベルの運転支援システムが盛り込まれていることも話題をよんでいます。これもCASEの一種と呼ぶことができるでしょう。

 

ちなみに同じスバルの仕事をしている会社の中でも、全く仕事がなくいまだに週休4日を続けている会社もあると聞きました。今や「どの業界の仕事をしているのか」あるいは「どの会社の仕事をしているのか」だけでなく、「どの国向けの」「どの車種なのか」というレベルで仕事の有無が変わってきています。

こうしたことも、一昔前と現在とで大きく変わってきた点です。

 

言い換えれば、特定業界依存あるいは特定顧客依存のリスクが益々大きくなってきている、ということです。

 

 

コロナで何かが変わったわけではない

 

話が一瞬飛びますが、フランスの人口学者でエマニュエル・トッドという人物がいます。同氏は1970年代半ばに「最後の転落」という著書を発表し、同書の中で「20年以内にソ連が崩壊する」と予想しました。

ちなみにトッド氏は当時20代の若者。1度としてソ連に行ったことはありません。

1970年代といえばベトナム戦争の後遺症で米国が力を落とし、逆に当時のソ連は米国と互角あるいはそれ以上の超大国で非常に勢いがあった時期です。その中で、1度としてソ連に行ったことのない若者が「20年以内にソ連が崩壊する」と予測したので世界中が注目しました。

そして、その予測は当たりました。同氏が注目したのは当時のソ連の「乳児の異常な死亡率」です。こうした人口動態が動くとき、というのはその国にとって何か大きなことが発生している、というわけです。

 

そのエマニュエル・トッド氏は、今回の一連のコロナの件に対して次の様に述べています。

「コロナで何かが変わったわけではない」「もともと起こるべきことが加速して起きているにすぎない」と。

 

確かに前述のDX(デジタル・トランスフォーメーション)、5G、CASE、あるいは脱炭素、海の環境保護などSDGsに関連する動きはコロナ前から決まっていたことです。政府のデジタル庁の設置もそうですが、こうしたことがコロナでさらに加速しているわけです。

 

また先ほどは「米国と中国のハイテク摩擦問題」と書きましたが、これは厳密にいうと「基軸通貨」を巡る覇権争いです。従って中途半端な終わり方をすることは無いでしょうし、また長引くでしょう。

確実にいえることは前述の通りサプライチェーン的に中国からそれ以外の国へ大幅なシフトが起きる、ということです。

そして、この問題もまさにコロナで「加速」している、と言えるのではないでしょうか。

 

現在の状況を総括すると次の様になります。

1)忙しいところと、そうでないところとに二極化している。同じ業界、同じ取引先であっても

「車種(あるいは製品)」「対象エリア」などで業況が全く違う

 

2)5G、DXがらみの膨大な需要は見込めるものの、中国からそれ以外の国のプレーヤーに切り替わる。

過渡期である現時点では仕事がでてきていない。

逆に言えば、プレーヤーが切り替われば膨大な需要が見込める。

デジタル化の加速は確実に約束された未来である。

 

3)原動機からEVへのシフトが世界的に進む。自動車業界だけの問題ではなく、世界レベルで「脱炭素」

が進み、エネルギー構造も大きく変わる。

自動車のデジタル化が進み、CASE(次世代自動車)がより加速される。

 

 

成長分野の中堅・大手優良企業を対象とした新規開拓は今がチャンス!

 

こうした流れは中小企業にとっては成長分野の中堅・大手優良企業を対象とした「新規開拓」には絶好のチャンスといえます。なぜなら、こうした大きな技術革新が起きるときには“ものづくり”の方法が大きく変わるからです。

 

例えば、

・より小さな穴をあけたい

・より精度を高くして小さくしたい

・今までよりも、もっと硬い材料を使いたい

・今までよりも、もっと熱伝導性の高い材料を使いたい

・ノイズ対策に万全を期したい

といった様な、5GあるいはDXに見られる高機能化に伴う新たな需要。

 

あるいは、

・もっと軽量化したい

・もっと薄肉化したい

・従来の鋼材からアルミに換えたい、樹脂に換えたい、

・もっと深絞りをしたい

・切削から塑性加工に換えたい

・逆に金型レスにしたい

など、CASEに見られる、いわゆる工法転換に伴う需要がでてきます。

 

実際、私の顧問先の多くの製造業では「デジタルマーケティング」の取組み、また「ソリューションサイト」を運営して成果を出していますが、この9月からWebサイト経由での問い合わせが再び増えてきました。

 

その問合せの中で目立つ傾向が、

「今まではやったことなかったのですが、内製しなければならなくなりまして・・・」

「言われたことだけこなすサプライヤーではなくて、もっと相談にのってくれるサプライヤーを探している」

など、エンジニア自身が今までの自身の守備範囲外の技術課題を抱えている、というケースです。

 

そして、今、最も成果がでるパターンのデジタルマーケティングの手法は次の通りです。

 

 

1.いきなり具体的な問い合わせを狙うのではなく、まずは「資料ダウンロード」でキーマンの個人情報を取得する。例えば「VA・VEを実現する深絞りプレスによる工法転換」あるいは「自動車業界におけるVA・VE提案事例集」といったダウンロード用資料をインターネット広告で訴求する。

 

2.「資料ダウンロード」してくれた人に対して、マーケティングオートメーションを活用してメールマガジンを送付する。マーケティングオートメーションを導入することにより、配信したメールを誰がいつ何回開封したかがわかる。かつ、その人が自社Webサイトのどのページをいつ何回閲覧したかがわかる。

 

3.上記2.で、自社のメールマガジンを開封してかつ一定の条件を満たす挙動をした人に対して、「ステップメール」を送る。「ステップメール」の内容は、Youtubeチャンネルを活用した「バーチャル工場見学」とする。ここで、動画をくまなく見た人は自社に興味関心が高い、あるいは共感している可能性が高く、こうした動きをした見込み客をリスト化し、営業担当者が電話をかけるなどしてフォローする。

 

4.さらに、マーケティングオートメーションの機能を活用することにより、「どんな会社の人が自社のWebサイトを閲覧しているか」がわかります。これはサイトを訪れた際にクッキー情報といわれるドメイン情報がサイトに残ることから分析ができるものです。

例えば船井総合研究所の社員が自社のWebサイトを閲覧した場合、funaisoken.co.jp というクッキー情報が自社サイトに残ります。このfunaisoken.co.jp をドメイン情報マスタと照合することにより、船井総合研究所の社員が閲覧した、ということがわかるのです。

従って、仮に自社のターゲットがCASE関連の会社であるとするならば、自社がターゲットとしている様な会社がそもそも自社のWebサイトにアクセスしているのか?していないのであれば、例えばこうしたCASE関連の会社が興味を持ちそうなコンテンツを意識して増やす、といった対策をうつ必要があります。

 

5.グーグルキーワードプランナーというサービスを活用すると、どんなキーワードが月次で何件検索されているのか、といったことが簡単にわかります。例えば「樹脂 加工」だと月次1300件、「アルミ 加工」だと月次1600件、「深絞り」だと480件検索されています。

仮に、自社が訴求したい商品あるいはサービスが、ここで全く検索されていない、ということになるとデジタルマーケティングで成果を出すことが困難です。逆に月次で100件以上検索されている、ということになればデジタルマーケティングは十分に成り立つといえます。

 

例えば最近注目されている技術で、「ホットプレス」という技術があります。

これはワークである板材を800度以上の高温にして、プレスで塑性加工を行うという技術です。欧州では昔から用いられてきた技術でしたが、日本の場合は材料技術が優れていたこともあって、金型の冷却などランニングコストの問題もあり冷間プレスが大半でした。

ところがCASEの時代となり、より軽量化や薄肉化が求められる様になった結果、近年需要が伸びている技術なのです。

ちなみにあえて「ホットプレス 金型」という、明らかにCASE業界の関係者であろうキーマンが入力して調べているキーワードをグーグルキーワードプランナーで調べると、直近で月次40件の検索があることがわかります。さらに昨年の今頃だと同キーワードは月次20件しか検索されておらず、逆にいえばこの1年で検索数が2倍になったキーワードです。

 

この様に、一昔前であれば多大なコストをかけて「市場調査」しなければわからなかった市場ニーズが、無料のグーグルキーワードプランナーを使用すれば簡単にわかるのです。

 

繰り返しになりますが、前述の

・より小さな穴をあけたい

・より精度を高くして小さくしたい

・今までよりも、もっと硬い材料を使いたい

・今までよりも、もっと熱伝導性の高い材料を使いたい

・ノイズ対策に万全を期したい

さらに

・もっと軽量化したい

・もっと薄肉化したい

・従来の鋼材からアルミに換えたい、樹脂に換えたい、

・もっと深絞りをしたい

・切削から塑性加工に換えたい

・逆に金型レスにしたい

 

こうした需要がでてきた時、エンジニアがまず取る行動が「インターネットでの検索」です。

こうしたエンジニアが取る行動に対して、前述の1.~4.の対処を行っていくことがデジタルマーケティングということになります。

 

「今みたいに景気が悪い時に新規開拓を行っても、価格勝負になるだけですよ」

と言われる方もおられますが、そうではなく、現在の様に5G、DX、CASEといった技術革新が激しい時代になると、

 

・今のサプライヤーでは対応できない

・対応できるかもしれるけど不安である

 

こうしたニーズが出てきます。

 

さらに前述のランキングの中に、“キーエンス”“SMC”“ダイフク”などが入っていることからもわかりますが、

 

・人を増やさずに生産性を上げたい

・もっといえば、人を減らして生産性を維持したい

 

という「人手不足対策」もっというと「三密を防ぐための省人化対策」というニーズもかなり高まっています。

実際、現実に今、ニーズが増えているのが協働ロボットです。昨年の今頃は協働ロボットの引合いは多いものの、実際に受注には中々至りませんでした。受注できたとしても、余裕のある大企業が「工場見学コースの目玉として協働ロボットを設置する」といったケースが大半でした。

しかし最近の協働ロボット受注の中身をみると「コロナで密を避ける為に導入したい」「ティーチングレスで現場でも簡単に使えるから」「多少高くても人を増やしたくない」といった様に、導入の動機が大きく変わってきています。

 

この様に産業構造の変化が加速する現在こそ、新規開拓を行うには絶好のチャンスだと私は思います。

 

マーケティングオートメーションを、いかに使いこなすかが業績アップのポイント!

 

新規開拓を行うための有効な手段がデジタルマーケティングであり、そのデジタルマーケティングの中核となるツールがマーケティングオートメーションです。

 

マーケティングオートメーションを導入することにより、前述の1.~4.の対応が行えることに加えて、さらに次の様な運用が可能です。

 

・マーケティングオートメーションから客先にメールを送ることで、例えば見積書をメール送信した際に、

そのお客がいつ開封したか、していないかが、わかる。

・その見積書を開封した後のタイミングで電話をかけることで、フォローのタイミングが図れる。

・逆に「検討していますから」と言っているのに、全く見積書を開封していない客先の場合、見込みの無い

客先である、という判断がつくので不要な商談フォローをしなくても済む。

・また、過去に送付したメールを再度見ている、もっといえば見積書を再度開封している、といったことも

手に取る様にわかるので、そうしたお客に対してはタイムリーにフォローをする。

 

といったことも可能になります。

 

こうしたマーケティングオートメーションですが、日本では10年ほど前から大企業を中心に普及してきましたが、きちんとしたものは月額15~60万円ほどかかる、比較的高価なものでした。

なぜなら、これらのマーケティングオートメーションはもともと大手企業を対象に開発されたものだからです。

 

しかし、船井総合研究所が今年からパートナー契約を締結したZOHO(ゾーホー)という米国製のマーケティングオートメーションの場合、全世界で15万件の導入実績があり、日本国内でも社員数名の中小企業から誰もが知っている様な東証一部上場の大企業まで普及が進んでいます。

そしてZOHOであれば前述のハイエンドな機能が全て揃った上で、費用はわずか月額1万円前後で導入することが可能です。

さらにZOHOは単なるマーケティングオートメーションではなく、Saasと呼ばれる統合的なクラウドシステムであり、マーケティングオートメーション(以降MAと記述)の機能に加えてSFA(セールス・フォース・オートメーション)にも機能を拡張することができます。

MAとSFAを連携させることにより、「どのお客が、どのメルマガを、あるいは自社Webサイトのどのページをどれくらい閲覧したのか」といったことを押さえた上で効率的な営業フォローが可能になります。

なお、ZOHOのSFAモジュールも月額2500~4500円程度の費用で導入が可能です。

 

なお、船井総合研究所ではZOHOを中心としたMA導入コンサルティングは、実績が既に80社を超えており、その中の成功事例の一部をまとめたのが拙著「図解 よくわかるこれからのデジタルマーケティング(同文館出版)」です。

Amazonなどからも購入可能となっておりますので、ぜひご一読ください。

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また、船井総合研究所ものづくり支援室では、中堅・中小製造業の経営者様向けにオンラインセミナーを開催しております。

是非、ご参加をご検討いただければと思います。

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