コロナ禍で繁栄する会社、からわかること
この2020年8月の業績は全体的に厳しいものがありました。
お盆休みで稼働日が少なかった、という影響もあるかもしれませんが前年対比△25~35%、場合によっては△40~50%というケースも見られました。
この7月が前年対比△15~30%くらいであったことから考えると、7月よりも8月の方がおしなべて厳しい、という状況です。
おしなべて悪いのが自動車。トヨタ系は開発案件が動いているものの、トヨタ系以外は総じて厳しい。鉄鋼も厳しい。また航空機関係は当然のごとく壊滅的に悪い。
その中で、中国の景気刺激策によるインフラ投資が活発化しており、中国向けの各種部品は好調。例えば建設機械あるいは建設機械部品も中国向けは好調。
電子部品や半導体関係も7月から持ち直してきた、という話もあります。そもそも5G、CASEがらみは好調。リチウムイオン電池製造装置を手掛けるセットメーカーや、あるいは全個体電池がらみの設備を手掛けるセットメーカーは好調です。
全体が悪い中で突発的に忙しい会社、業績が良い会社もあり、半ば「運」に左右される面も大きいと言わざるを得ません。
そうした中、イギリスのフィナンシャルタイムス誌は、「コロナ禍でも繁栄する会社トップ100」を発表しました。これは今年初めからこの6月半ばまでに時価総額を増加させた会社のランキングです。その一部を下記に紹介すると、
1位 アマゾン 4011億ドル
2位 マイクロソフト 2699億ドル
3位 アップル 2191億ドル
4位 テスラ 1084億ドル
5位 テンセント(中国) 930億ドル
6位 フェイスブック 857億ドル
7位 エヌビディア 833億ドル
8位 グーグル 681億ドル
これをみると、今活況の業界が一目瞭然です。アマゾンとマイクロソフトは「クラウド」のBIG2です。いわばデータセンター企業です。
アップルはオンラインデバイス、テスラとエヌビディアはCASE関連、そしてフェイスブックとグーグルはオンライン広告。つまり全てがDX(デジタル・トランスメーション)銘柄です。
ちなみに、このベスト100にランクインしている日本企業はわずか3社。中外製薬と第一三共、そしてキーエンスです。
コロナ不況の今、絶対に取組むべき2つのこと
そして現在、取組むべきことは間違いなく次の2つです。
1つ目は新規開拓。不況期は新規開拓のチャンスです。
前述の通り、これからの伸びる業界は言うまでもなく前述のベスト100にランクインしている会社の業界、いわばDX関連、あるいはCASE関連の会社です。
そして、こうした伸びる業界・伸びる会社というのは間違いなくネット検索で新たなサプライヤーを発掘しています。展示会ができない今、人脈以外に有効な手立てはネット検索しかありません。従って自社の強みをきちんとオンライン上で訴求する、ソリューションサイトの構築等がこれからの新規開拓には必須になります。
2つ目は営業部門の活動管理です。
端的に言えば、SFA(セールスフォース・オートメーション)の導入を検討するべきでしょう。あるいは既に導入している会社の場合は、あらためて運用を見直す必要があります。
今日はこの2つのテーマのうち、特に後者の「SFAの正しい運用方法」について詳細を述べたいと思います。
現在のコロナ不況は、今まで以上にSFAが求められる様になっています。
なぜなら現在のコロナ不況において、放っておくと営業の活動量も自然と落ちるからです。現在の状態は以前から繰り返し申し上げている通り「7割経済」です。
つまり仕事量も従来の7割になっているはずで、空いた3割で新たな動きを考えなければならないはずなのですが、多くの人は従来顧客に従来通り時間をつかっている、という状態です。従ってSFAを導入して、きちんと現在の仕事量を「見える化」してやる必要がある、ということなのです。
間違いだらけのSFA運用の実態
具体的にどうすれば良いのか?
現在の「7割経済」に対応して、現在の人員で1.43倍に売上(利益)を増やすためには、次の方程式で考えるのが一番わかりやすいといえます。
それは、
売上 = 商談数 × 平均単価 × 受注率
です。このうち平均単価は新規事業あるいは新商品の投入でもしない限り変わりません。
つまり商談数をいかに増やすか、そして受注率をいかに上げるかがポイントになります。
ちなみに受注率というのは、「 受注件数 ÷ 見積件数 」で表されます。
そして、この商談数と受注率の管理を行うことこそがSFAの目的であり、「営業管理」で最も重要なテーマになります。
そして「営業管理」は次の4段階で構成されます。
第1段階 日報管理(いつ、どこで、何をやったのか の管理)
↓
第2段階 行動管理(どこへ、何回いったのか の管理)
↓
第3段階 商談管理(商談件数と受注率の管理)
↓
第4段階 粗利管理(営業マン別の粗利金額の管理)
まず、「粗利管理」はどこの会社でもやっているでしょう。
逆に言えば、「粗利管理」をやっていなかったとするならば、そもそも営業担当者は自分の成果がわかりませんからモチベーションにもつながりません。
そして、本来であれば粗利に直結するはずの商談件数と受注率の管理をするべきなのですが、実はこの「第3段階」の管理ができていない会社が非常に多く、SFAを導入しているものの「日報管理」あるいは「行動管理」しか行えていない会社が多いのです。
そもそも「日報管理」は定性的な管理です。日報で「今日はどこそこに訪問してこんな引合いをもらいました」という営業マンのコメントに対して上司の営業マネージャーが「よくやりました!こんなPRもしてみたらどうですか?」といった類のことをコメントする、みたいな話が日報管理ですが、私はこの日報管理については昔から懐疑的です。なぜなら部下の日報を読んで本当に本質を把握することは極めてスキルが必要なことであって、そんなことが本当にできる営業マネージャーは、まあ10人いて1人いるかいないか、ではないかと私は思うわけです。
さらに「行動管理」に至っては、「どこに何件いった」「見積りを何件だした」といった類の話にすぎませんから、管理しないよりはした方がよいですが、この管理の結果が粗利に結びつくかどうかは極めて懐疑的だと私は思います。
つまりSFAを導入していながら、上記第3段階の「商談管理」を適切に行えていない会社が非常に多いのです。
エクセル管理では出せない受注率
では、なぜ、第4段階の「粗利」に結び付けるために「商談管理」、その中でも特に受注率が重要なのか?
それは、数字が上がらない営業担当者ほど商談への見極めが甘い、からです。
皆様の会社の営業担当者のことを想像していただきたいと思います。数字が上がらない営業担当者ほど、どう考えても決まらない様な商談に一生懸命に時間と手間をかけているのではないでしょうか。あるいは、どう考えても失注したとしか思えない様な商談をいつまでも商談表にあげている、そうしたことがないでしょうか。
つまり成果が上がらない人というのは時間の使い方を間違っているのです。それを誰もが目で見える状態にしてくれるのが「受注率」なのです。
実際、私の関係先を見ていても、やはり「受注率」の高い営業担当者は総じてスキルの高い担当者であり、結果的に数字も伴っています。
ちなみに、決まりそうな商談ばかりを商談表にあげると、「受注率」は上がりやすくなりますが、そのバランスをみるために「商談件数」も見ているわけです。
自社の見積金額が少額なものから大きなものまで幅広い場合は、たとえば「30万円以上を商談とする」あるいは「100万円以上の高額商談のみ計上する」など、自社なりのルールをつくると良いでしょう。
そして、ここでポイントとなるのが「エクセルによる商談管理だと受注率は出せない」ということです。受注率を出そうとすると、エクセル管理ではなく、データベース構造を持つ専用のソフトウェアでないと算出ができません。つまり何らかのSFAソフトを導入しないと受注率の管理は行えない、ということです。
失敗しないSFAの選び方
SFAのパッケージソフトで最も普及しているのが、NIコンサルティングのNIコラボ。あるいはソフトブレーンのeセールスマネージャーでしょう。
こうしたパッケージソフトを導入するのも有効な方法です。
あるいは、現在行っている営業管理をそのままクラウドのデータベースに落とし込む思想のソフトウェアのことをSaas(=ソフトウェア・アズ・ア・サービス)といいます。
Saasで有名なシステムとしては、セールスフォースドットコム と、ZOHO(ゾーホーと読みます) の2社があります。
このうち ZOHO は全世界で15000件ものユーザーに導入実績がある、中小企業を対象とした極めて高機能かつ安価なSaasです。
前述のパッケージソフトの場合はSFA専用ですが、Saasの良いところは「SFA」そして「MA(マーケティング・オートメーション)」と機能を拡張できる点であり、世界レベルでいうと営業管理はSaasの導入がスタンダードになりつつあります。
そして ZOHO の場合、例えば基本的なSFAであれば1営業担当者あたり2500円/月 程度のコストで導入することができ、極めて安価です。
近年、日本国内でも従業員数名の中小企業から、上場会社に至るまでZOHOの導入が進んでおり、日本国内では富士ゼロックスがZOHOの公式パートナーに昨年からなっており、また、船井総合研究所も今年からZOHOの公式パートナー企業となりました。
自社の営業生産性を1.5倍に高めるために必要なこと
そして、このSFAで「商談管理をしましょう」となった時に営業の方から必ず言われるのが「商談情報を入力する時間がもったいない」「営業の仕事は情報入力をすることじゃない」というお決まりの反応が返ってきます。
例えばZOHOの場合、ZOHOで見積書作成をすると、そのまま商談情報として登録される機能があります。
ですから商談情報を二度打ちする、という無駄な時間は発生しません。
もっというと、ZOHOはSFAだけでなくMAの機能も有しています。従って、ZOHOで作成した見積書を客先にメールすると、そのお客がそのメールを開いたかどうかがわかります。さらにお客が、そのメールを何日か経ってから開封し、添付の見積書を開いたかどうかもZOHOで手に取る様にわかります。
例えばお客が「具体的に検討しているから!」と言っていたとしても、その見積書を開きもしてないケースもあるかもしれません。こういうお客はこれ以上攻めてもムダ、あるいは逆に「見積り書をご覧いただけましたか?」とフォローの必要があります。
逆に、本当に検討しているのであれば、こちらが送信したメールを何度も開くでしょうし、あるいは社内の関係者に転送をかけるなど、そのためにPDFを開くといった具体的な行動を取るはずです。ZOHOがあれば、こうしたことが全て可能になります。
いかがでしょうか。
こうした機能を知らないか、知っているか、それだけでも営業の生産性に大きな影響を及ぼします。
船井総合研究所ものづくり支援室では、このような情報を中堅・中小製造業の経営者様向けに発信するためにオンラインセミナーを開催しております。
是非、ご参加をご検討いただければと思います。
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