コロナ禍「7割経済」をどう乗り切るのか?「困難は分割せよ」
では、現在のコロナ禍「7割経済」をどう乗り切っていけば良いのでしょうか?
かつて哲学者で科学者であったデカルトは「困難は分割せよ」と言いました。
今回の困難を分割すると、前回のメールマガジンでも述べましたが次の式で表すことができます。
売上 = 平均単価 × 商談件数 × 受注率
「平均単価」を上げるためには新規事業が必要です。あるいは新規事業につなげる為のM&Aを考えるべきでしょう。
「商談件数」を増やして「受注率」を上げるためにはMA(マーケティング・オートメーション)の導入が有効です。これは前回のメールマガジンでも述べた通りです。
この時、重視すべきことは「商談件数」の中でも高額商談の件数です。何をもって高額商談とするのかは、各社定義が異なるかもしれませんが、例えば「100万円以上の商談を高額商談とする」あるいは「300万円以上の商談を高額商談とする、という定義を明確にして、その商談件数をしっかりと管理していかなければならないのです。
間違いだらけのSFA(セールス・フォース・オートメーション)の実態
そしてこの、「商談件数」と「受注率」を見える化するためのツールが、SFAです。
ところが多くの会社で、このSFAが間違った運用をされています。SFAの仕事は本来は「商談管理」なのですが、単なる「日報管理」で終わっている。本来は不必要なSFAパッケージソフトの膨大な機能に圧倒され、本来必要なKPIである「受注率」が取れていない、というケースが多く見られます。
では、なぜ、この「受注率」が重要なのか?
「受注率」は次の式で表されます。
受注率 = 受注案件数 ÷ 見積り提出件数
やはりSFAを適切に運用できている各社を見ると、受注率の高い営業担当者ほどスキル(粗利額)が高く、受注率の低い営業担当者ほどスキル(粗利額)が低いという相関関係が明確に出ています。
実際、数字が上がらない営業担当者の共通点は「商談への見極めが甘い」という点につきます。つまり、いくら追っかけても決まらない案件にすごく時間をかけていたり、あるいは明らかに失注した案件をいつまでも商談表に載せている。それに対してマネージャーも適切な指導ができない、あるいはしていない、という点が大きな問題なのです。
ちなみに、「商談」とはBANTを満たしたもののことをいいます。
BANTとは、
B・・・バジェット:客先の予算がわかっている
A・・・オーソリティー:相手がキーマンかどうかがわかっている
N・・・ニーズ:なぜそれが必要なのか、動機がわかっている
T・・・タイムド:納期がわかっている
のことです。さすがにBANT全てがわかるケースは難しいかもしれませんが、せめてBとTくらいはわかっていないと「商談」とはいえません。
「商談」ではなく、単なる「情報」にすぎません。「情報」を商談表に載せるのは良いとしても、「情報」のまま数ヶ月掲載されている、というのは明らかに適切な営業管理ができている状態ではありません。
繰り返しになりますが、いずれにせよSFAとは「商談件数」(特に高額商談の件数)と「受注率」を見える化することにより、いかに「商談件数」を増やすのか、特に、いかに「受注率」を上げるのか、ということを促すものです。
営業担当者別の「粗利」管理を行っているからこそ、営業担当者は自分の粗利を気にして粗利を増やさないと、と思うわけで、その「粗利」をつくる最重要プロセスである「受注率」を見える化しないことには、SFAを導入した意味が無いのです。
パッケージソフトとSaasの違いをしっかりと押さえる
では、なぜ多くの会社で間違ったSFA運用がされているのでしょうか?
それはSFAを売るベンダーの多くが実はSFAの本質を理解できていない、というのが実際のところではないか、というのが私の意見です。
なぜならSFAは本来、パッケージソフトで売るものではないからです。
会社で使用されるシステムというのは、次に示す通り大きく「基幹系システム」と「顧客まわり系システム」に分けられます。
<基幹系システム>
-会計システム → 労務システム(勤怠管理・給与計算)/ 販売管理システム(CRM)
※ 基幹系システムは会計システムにつながる
<顧客まわり系システム>
-顧客 → SFA → MA(マーケティング・オートメーション)
※ 顧客まわり系システムの起点は顧客で、販売管理システムにつながる
この様に、同じシステムでも基幹系システムと顧客まわり系システムは全く別物です。
また、基幹系システムはどこの会社も似たりよったりのオペレーションとなるため、もっというと「こういうやり方で進めるのがベスト」という方法が業種ごとに確立されているケースが多いため、「パッケージソフト」を使うのが良いのです。
「パッケージソフト」のコンセプトは、「パッケージソフト」に仕事の進め方を合わせる、ということです。
これに対して、顧客まわり系システムというのは会社によってオペレーションや必要となる帳票が全く違います。会社ごとに違うオペレーションにパッケージソフトをあてはめるとどうなるでしょうか?答えは、パッケージソフトそのものが必要以上の高機能となり、使いきれない、理解しきれないほどの機能が満載になる、という結果に陥ります。
日本よりもデジタル化が進んでいる欧米においては、「基幹系システム」はパッケージソフトを使う、「顧客まわり系システム」はSaasを使う、という流れが一般的になっています。
Saasというのはソフトウェア・アズ・ア・サービスの略語で、すなわちレゴブロックを組み合わせるかのごとく、その会社に合ったソフトウェアを簡単にカスタマイズすることができます、というのがSaasなのです。
Saasの2大ベンダーは、セールスフォースドットコムとZoho(ゾーホー)
そして、このSaasはSFAだけでなく、MAやCRMにも拡張することが可能であり、世界レベルのSaasだと次の2つがあります。
・セールスフォースドットコム
・Zoho(ゾーホー)
主に大企業で使用されているのがセールスフォースドットコムです。セールスフォースドットコムは全世界で10万件を超えるユーザーに使用されています。
そして主に中小企業で使用されているのがZohoです。Zohoは全世界で15万件を超えるユーザーに使用されています。
ここでポイントは、その導入件数です。国産のシステムだとせいぜい数千ユーザーからどんなに多くても数万レベルのユーザーしかありません。
ソフトウェアというには結局のところ言語です。つまり、英語圏は20億人以上のユーザーがいるのに対して、日本語圏は1.2億人のユーザーしかいません。
例えば昔、一太郎というワープロソフトがありました。当初は「日本語変換は一太郎の方がよい」と一太郎ユーザーというのも一定数いましたが、今、一太郎を使っている人はほぼいません。みんなワードを使っています。また昔はSNSといえばミクシィでしたが、今ミクシィを使っている人はいません。みんなフェイスブックです。
私はソフトウェアを導入する場合は、まずは世界レベルで流通しているソフトウェアを導入するべきだと思います。
SFAに話を戻すと国産のSFAの多くは不必要な機能が多すぎる「ガラパゴスSFA」だと思います。そもそも非効率な日本の営業スタイルに合わせたSFAであり、本来あるべきSFAからは相当差異があるのではないか、と私は思うのです。
圧倒的にコストパフォーマンスが高いZoho(ゾーホー)
また、Saasの良いところは、SFAのみならず、MA、CRMと機能を拡張できるところにあります。
前回のメールマガジンでも述べましたが、MA(マーケティング・オートメーション)が適切に運営されれば、
・商談数が1.5倍に増える
・受注率が5ポイント上がる
という成果があがります。
マーケティング・オートメーションの多くが月額15~20万円、あるいは60万円ほどかかるシステムもありますが、
Zohoのマーケティング・オートメーションは月額わずか1万円です。月額わずか1万円であるにも関わらず、前述の高額なMAと変わらない機能を有しています。
この様に、現在のデジタルの時代は「知っているか」「知らないか」によって、その結果が大きく変わる時代なのです。
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