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日本の生産性が上がらない本当の理由

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国力やその国の豊かさを知る数値として、その代表的な指標が「国民1人あたりGDP」です。
GDPはその国の全ての組織が生み出す付加価値を示し、国民1人あたりGDPは文字通りその国の生産性と見ることできます。

そして日本は過去20年にわたり、この「国民1人あたりGDP」はずっと横ばいです。
つまり20年にわたり“成長0”ということなのです。

我々はつい、
「日本は先進国だから、これ以上成長できないんだ」
「少子高齢化で人口も減っているし、仕方がない」
と、考えがちですが、この考えは間違っています。

なぜなら日本と同様の先進国であるアメリカはこの20年間で1人あたりGDPは2.3倍。
ドイツとフランスが1.5倍。かつて英国病と揶揄されたイギリスですら1.9倍に伸ばしているのです。
この違いは何が原因なのでしょうか?

私はこの10年間、毎年グレートカンパニー視察セミナーに講師として参加し、北米や欧州の数多くのグレートカンパニーを
この目で視てきました。そこで大きく感じるのは、日本企と、これら欧米優良企の「思考法」の違いです。

例えば日本企でど真ん中に置かれている思考法は「PDCAサイクル」です。
PDCAサイクルとは、
・Plan 計画
・Do 実行
・Check 検証
・Action 改善
を回して製品やサービスの質、あるいは組織や仕事の質を高めていくフレームワークですが、PDCAサイクルには次の弱点があると言われています。

<PDCAサイクルの弱点>
(1) そこから新たなイノベーションが生まれないこと
(2) 刻々と状況が変化する中で、当初立てたP(計画)が機能しなくなることに対応できない
(3) 時間がかかりすぎる

特に現在はVUCAの時代と言われています。
VUCAとはVolatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字をつなぎ合わせた造語で、これら四つの要因により、現在の社会経済環境がきわめて予測困難な状況に直面しているという時代認識を表す言葉です。

もともとは米軍の軍事用語でしたが、ダボス会議で取り上げられて以来、ビジネスの世界でも多用される様になりました。
VUCAには次の5つのレベルがあります。

レベル0 安定
レベル1 不安定:Volatile
レベル2 不確実:Uncertain
レベル3 複雑:Complex
レベル4 曖昧:Ambiguous

そして欧米企の常識として、PDCAサイクルが適用できるのは上記レベル0の状態だけであり、レベル1以上の環境ではPDCAサイクルが機能しなくなる、といいます。

その中で、米軍が採用しているフレームワークとして広く知られているのが「OODAループ」です。
OODAループとは次の様なフレームワークです。

<OODAループ>
Observe 観察する

Orient 情勢把握をする

Decide 意思決定をする

Act 実行する、行動する

OODAループの特徴として、サイクルではなくループなので常に同じところに戻ってくるとは限らない。
また場合によっては途中のプロセスを飛ばすことがあり、必ずしも暗黙知を形式知化することにこだわらない。
なぜなら全ての暗黙知を形式知にする時間がもったいないから、です。

ちなみに前述のPDCAサイクルも、かなりの拡大解釈をすればOODAループと重ね合わせることができます。
例えば「OODA LOOP 東洋経済新報社」の著者で元米軍人のチェット・リチャーズ氏によると、日本企で最もOODAループをうまく回しているのがトヨタ自動車であると。
トヨタ自動車の「現地・現場・現実」の3現主義や、「なぜを5回繰り返す」といった思考法はOODAループそのものであるといいます。
ただし大半の日本企では本来の意味での拡大解釈がなされず、狭い意味でのPDCAサイクルだけが思考のフレームワークとして使われているのです。

そして、このOODAループをもとに、スタンフォード大学がビジネス思考法として進化させたフレームワークが、有名な「デザイン思考」です。
デザイン思考とは、

<デザイン思考のフレームワーク>
(1) 共感をもって人々を観察する(洞察→観察→共感)
(2) 問題を定義する
(3) アイデアを生み出す
(4) プロトタイプを作る
(5) 実世界でテストする

というものです。一言でいえば、「あれこれ悩むのではなく、まずはプロトタイプ(試作)をつくって試してみる」という思考法であるといえます。

例えば、マクドナルド社の創の様子を映画化した『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』という映画があります。この映画の中で、マクドナルド社の創者レイ・クロック氏が、実店舗をつくる前に、テニスコートに厨房のレイアウトの白線を引き、そこにスタッフを配置して、ハンバーガーをつくるロールプレイングを行う様子が描かれています。

マクドナルドは注文を受けてから1分以内にアツアツのハンバーガーを渡すのが売りです。
当時のドライブインでは20分近く待たされるのもザラだったそうですから、画期的なことです。

そのようなスピード対応にスタッフが皆最初は不慣れで、ハンバーガーを渡すまでに10分近くかかっていましたが、ロールプレイングを繰り返し、厨房のレイアウトを最適化(白線を書き換えるだけ)していくうちに、1分間でハンバーガーを提供することに成功します。

これがプロトタイプです。

ちなみに、日本ではこの「デザイン思考」の“デザイン”という言葉がかなり誤解され、デザインを“意匠”あるいは“芸術(アート)”と解釈している人が多い様ですが、ここでいうデザインとは“設計”あるいは“構造”という意味で、再現性を伴うものです。芸術やアートに再現性は求められません。

「デザイン思考」とは、ふわっとしたバズワードではなく、論理的・哲学的かつ再現性の高い欧米企が採用しているれっきとしたフレームワークなのです。

そして「PDCAサイクル」の最大の弱点は、そこから新しい発想やイノベーションが生み出されないことにあります。

例えばアップル社のスティーブ・ジョブス氏が発表したiPhone。
携帯電話でもなく、パソコンでもないiPhoneの販売予測を立てることができるでしょうか?

もちろん無理です。

ですからジョブス氏は、iPhoneのハードが追い付いていない状態から、あえてiPhoneを世に出し、市場の反応を検証しました。例えば当初のiPhoneはバッテリーの消耗が激しく、昔のガラパゴス携帯に慣れた“おじさん”からすると、とてもビジネスで使えるものではありませんでした。
またiPhoneに搭載された地図もバグだらけで、信頼性に乏しいものでした。

ところがバッテリーの寿命が短くても、地図の精度が低くても、若者を中心にiPhoneは熱狂的なファンをつくり出し、その後日本でもガラケーを完全に駆逐しました。
そしてこの動きを読むことができなかった携帯電話サプライヤーは大きな打撃を受けました。

よく言われるたとえ話ですが、馬車を使っている人に「どんな乗り物が理想ですか?」と聞いたところで、「もっと早い馬車が欲しい」と答えるのみです。
そこから“自動車”という次のイノベーションにつながる答えは絶対にでてきません。

いわば、これが「PDCAサイクル」の限界です。
今ある仕組みを、今まで通り回していくのであれば「PDCAサイクル」は有効です。しかし現在の様に、破壊的なテクノロジーによる変革が激しい時代、PDCA的思考は明らかに限界にきています。

実際、ドイツの世界的ERPベンダーであるSAP社は、PDCAサイクルに代表される従来のフレームワークのことを、
・ビジネス思考
と呼び、前述のOODAループから派生するイノベーションを生み出すフレームワークのことを
・デザイン思考
と呼んでおり、現在の時代は「ビジネス思考」と「デザイン思考」の“両利き”でなければならない、としているのです。

ちなみに、今、経営者が必読の1冊のひとつとして、「次のテクノロジーで世界はどう変わるのか|山本康正著(講談社)」という本があります。

同書によると、これからの新世界は次の3つのテクノロジーがつくるトライアングルで激変するといいます。
その3つのテクノロジーとは、
・AI
・クラウド/ビッグデータ
・5G
です。AIはクラウドによるビッグデータがあって、はじめて駆動します。しかし、それだけの大容量のデータを遅延なくリアルタイムに送ろうとすると、現在は光ケーブルなど有線に頼らざるを得ません。
ところが5Gが実用化されることで、AIとクラウド/ビッグデータをつなぐ通信が完全ワイヤレスとなり、本当の意味でのデジタル社会が訪れる、というものです。

ちなみにCASEやMaasも、
この「AI」「クラウド/ビッグデータ」「5G」という“テクノロジーのトライアングル”の中で実現する技術です。

従って5Gは必ず動くでしょうし、生産財界の製造あるいは商社は、このチャンスをものにする必要があります。
具体的に、5G対応の端末は、部品点数が従来の2倍近く必要とされています。
従って電子部品は従来よりも小型化・軽量化が求められ、その製造プロセスは大きく変わるものと想定されます。

また端末の部品点数が増えるとなると、基板に電子部品を取り付ける実装機の速度も上げる必要があります。
仮に部品点数が1.5倍になるのであれば、実装機の速度も1.5倍にしなければ従来のコストで製品をつくることはできません。ここにも技術革新の波が及びます。

さらに5Gのミリ波帯のモジュールで問題視されているのが放熱の問題です。限られたスペースに従来よりも高電力量の部品を配置するため、より多くの熱を逃がす必要があるのです。
従って5Gでは銅の2倍以上の放熱性のある新素材が多用される見込みです。

5Gはまだプレイヤーが明確に決まっていない、事実上これからの技術です。
そして、前述の新たな技術課題に対して、
「もっと、こういう材質で、こういう形状のものがつくれないか」
「従来よりも、もっと薄い形状でこういうものがつくれないか」
と、いった様な新たなニーズが、エンジニアの間には膨大にでてきてます。

その結果、彼らエンジニアがどういう動きを取るのかというと、まずは「ネット検索」です。

実際、今この瞬間は不景気が伝えられ、先月の工作機械受注も単月で昨年対比3割ほども下落していますが、私のコンサルティング先が運営する、様々なVA・VEソリューションサイトへの引合い・問合せは減ることがなく、むしろこの1月以降増えている傾向です。

例えば先月、私のコンサルティング先の金型製造が、金型製造技術を活かした部品加工のVA・VEソリューションサイトを立ち上げました。
立ち上げていきなり最初の1カ月で、大手素材メーカーの開発部門から難削材の加工の引合いが入りました。
早速訪問してヒアリングしてみると、前述の5Gがらみの新しい装置に関わる部品でした。
現段階では試作だそうですが、本格的に流れるとなると月に20,000~30,000くらいのロットが見込めるそうです。

PDCAサイクル的に考えたら、「今みたいな不景気に下手に新規開拓に動くと、価格競争のロクな仕事しかこないよ」ということになるかもしれません。
従来型の発想法です。

しかしOODAループ的に捉えると、
<OODAループ>
Observe 観察する

Orient 情勢把握をする

Decide 意思決定をする

Act 実行する、行動する

目先の景気・不景気に関係なく、前述の「AI」「クラウド/ビッグデータ」「5G」のテクノロジー・トライアングルを完成させるという社会ニーズに基づき、明らかに大手素材メーカーや大手自動車部品メーカー(ティア1)、あるいは実装機・半導体製造装置といったプレシジョン機器のメーカーの間で、新しいサプライヤーを探す動きがでてきています。

これが私の「Observe 観察」に基づく「Orient 情勢把握」です。
この結果を、私はこうしたメールマガジンやセミナーによって、経営者の皆様に情報発信を行っているわけですが、その結果、「Decide 意思決定」して「Act 実行する」のは経営者の仕事です。

そうした意味で、皆様にお奨めしたいセミナーが、
来る2020年3月12日(木曜日)に大阪会場で開催される「金型製造「部品加工事」参入セミナー」です。

↓↓↓金型製造業「部品加工事業」参入セミナー@大阪会場の詳細はこちら!
https://lpsec.funaisoken.co.jp/factory-business/057272_lp/

本セミナーは昨年8月に東京会場で開催して大好評であった企画の、大阪会場版となります。本セミナーの特別ゲスト講師は、広島市に本社工場を置く、平岡工株式会社の専務取締役、平岡良介様です。同社はゴム金型製造という本の強みを活かして部品加工事を立ち上げ、たった1名の担当者で何と売上1億円の事とすることに成功しています。

従来型の金型製造だと、かなり限られた顧客・界しか対象となりません。
ところが従来ビジネスの強みを活かした「部品加工事」という広いドメインであれば、前述の様な5Gビジネスも含めた、広い成長市場のニーズを取ることができます。

それが今回のセミナーでお伝えしたいことです。

↓↓↓金型製造「部品加工事」参入セミナー@大阪会場のお申し込みはこちら!
https://lpsec.funaisoken.co.jp/factory-business/057272_lp/

ぜひ皆様の会社でも「OODAループ」的な視点、
あるいは「デザイン思考」的な視点で、新しいイノベーション、新しい事を生み出していただきたいと思います。

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経営者の皆様へ セミナーのお知らせ

金型製造業「部品加工事業」参入セミナー

たった1人の担当者で売上1億円!

大阪会場 3月12日(木)13時~16時30分

↓↓↓本セミナーの詳細は、こちら!
https://lpsec.funaisoken.co.jp/factory-business/057272_lp/

本セミナーは次の様な経営者の方にお奨めです。

・現状の自社マーケットではこれ以上の成長が見込めないとお悩みの方
・金型は不況の影響をモロに受けるので対策が必要だと思っている方
・特定顧客に依存しているが、金型の新規開拓は極めて困難だとお悩みの方
・部品加工に参入したいが、顧客とのバッティングを心配されている方

たった1名の担当者で、部品加工事で売上1億円をつくる、平岡工様の取組みとは?

本セミナーの詳細・お申込みは下記URLからご覧いただけます。
ぜひセミナー会場で、皆様とお目にかかれることを楽しみにしています。

↓↓↓本セミナーの詳細は、こちら!
https://lpsec.funaisoken.co.jp/factory-business/057272_lp/

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